日本漢字の発音についての概略

【日本漢字の発音についての概略】
 日本語の漢字音には「漢音」,「呉音」,「唐音」の区別がある。「唐音」の一部を「宋音」と呼ぶ場合もある。
 「漢音」は600-800年頃にかけて行われた遣隋使,遣唐使が持ち帰った漢字音を指す。主に「唐代・長安」の漢字音であ

る。
 「呉音」は5, 6世紀頃、南北朝時代の長江流域における発音が直接もしくは半島経由で導入されたもの、とされる。(

※導入過程は必ずしも確定されていない)
 「唐音」は遣唐使中止により途絶されていた交流が再開された平安末期-鎌倉時代以降に導入された漢字音である。鎌

倉時代の禅宗文化に基づく「中世唐音」(宋音とも呼ばれる)と、江戸期仏教に基づく「近世唐音」に大別される。
北宋時代に商人によって伝えられた漢字音
鎌倉時代(南宋〜元初)臨済・曹洞系の禅僧によって伝えられた主として江南浙江地方の漢字音
●江戸時代初期(明末)黄檗宗によって伝えられた南京官話系の漢字音
●江戸時代(清)長崎通事によって伝えられた杭州語と南京官話系その他の漢字音