岩波文庫『眠られぬ夜のために』

 私にとっては、寝る前のストレッチ、夜通し低音量で流すBGMと同じような効果をもつ一冊である。どれほどもこの本の精神に感能出来てはいないが、入眠効果の面で申し分ない。少なくとも今のバイオリズムには合っているらしい。


●H・ロルムの詩(題名の表記なし) p10
ただ胸に脈うつばかりで、
語られしことなき言葉によって、
うつつの夢の力によって、
夜の魔法のめがねによって、
眠りをうばわれし
暗く、しずかな夜は、
生きたるままわれらをすでに
この悪しき生から救い出す


(H・ロルムって検索しても出会いなぁ…)


●ヘルンフート派の讃美歌 p11
(要約:不眠の中で一人で悶悶とするのは良くないことですよ、神様か 貴方を愛してくれる人と会話すべきですよ。それが駄目なら良い書物、そういう書物の一節を読むと良いですよ。聖書や賛美歌まじオススメ!を踏まえた上で)
>そういう讃美歌で最も美しいものは(その全部がそうではないが)たとえば同胞教会(ヘルンフート派)の讃美歌集のなかに含まれている。


●現代人に欠けているのは喜びの心 p12
>一般に現代の人たちに欠けているのは、とりわけ、喜びの心である。その他の点ではすぐれた人たちですら、喜びの心がない。しかも彼らにその真の理由を率直に指摘してやることが困難である、彼らはそれをつねに曲解するからだ。喜びの心を妨げるのは、いつもその人の自愛心や我意や、あるいはお上品な、または下らぬ種類の怠惰である。神への完全な従順こそ、喜びをうる条件である。喜びの心は、神へ従順であることの偽りない証しであり、それはだれでも立てられる証しである。


で、聖書における同様の記述について引用番号が載っている。

詩篇119・45「そうして私は広やかに歩いて行くでしょう。それは私が、あなたの戒めを求めているからです」


●一月二日p28,29
>ヨハネによる福音書一五の七は、おそらく聖書全体のなかでも最も注目すべき言葉であろう。


●「三月の雪」p87

冬は去ったが
春はまだ来ていない。
生命と光と大気にあこがれて
わが心は死ぬばかりだ。


ふかい重圧のもとに
わが思いはなお屈しており、
不安とうれいと
重い仕事の軛が私を苦しめる。


大地は昔ながらの悲痛の叫びで
私をおさえつけている。
春の喜びの歌が聞こえるたびに
またもや新しく雪がふってくる。


けれども、雪の下にはすでに
緑の芽がかがんでいるのが見えた。
主よ、あなたのひそかなこころみは
かならずあらわれねばなりません。