中国語の音韻における偏りについて
中国語の、声調を除く子音×母音の組み合わせ総数は機械的に掛け算すると凡そ500にもなるが、しかし実査には発音されない組み合わせが有るため実数は凡そ400である。そして此ら発音の一覧を眺めていると、何らかの"偏り"が有るらしいと気付かされる。気になった部分をピックアップしておきたい。
【母音の偏り】
○A,E,Oがむき出しになる字は思いの外 少ない。(※1)
○_i_ の音は極めて多い。子音ではZH,CH,J,Xが、母音ではi,ia,ian,iangあたりが多いか。
【声調の偏り】
○BはBoを除いて二声が少なく、PはPuを除いて三声が少ない。
○C,CHに偏りはない。Zに偏りはない、ZHは僅かに二声が少ない。
○Dは二声が少ない。Tに偏りは見られない。
○GはGeくらいしか二声がない。Kも二声が少ない。
○Eは二声と四声が多い。
○Jは"Ji"を除いて二声が少ない(J-n/ngには全くない)。Qは偏りなし。
○Sは二声が少ないがSHに偏りはない。
●濁音(※2)=M,N、L,Rは一声が少ない。
●対立のない清音(F,H,X,S,Sh)に通底する偏りは見られない。
●無気音には、二音が少ない傾向がある。
●有気音に通底する偏りは見られない。
【無気音は有気音よりも多い】
b 170 | p 110 |
d 170 | t 140 |
g 140 | k 90 |
j 250 | q 140 |
z 80 | c 60 |
zh 210 | ch 150 |
合計 1,020 | 合計 690 |
_______
※1 i,uに至っては表記が存在しない。
※2 中国語の声母(頭子音)は、送气/不送气(有気/無気)対立のある清音,対立のない清音,浊(濁)音 に分けられる。M,N,L,Rは中国語的音韻分類上は同じ「対立のない清音」となる。