『蝶はもう飛ばない テレジンの小さい画家たち』より、詩『想い』とその英文訳

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 想い ハヌシュ・ハッヘンブルグ

ぼくは片隅に立ち
魂がひとつまたひとつと引裂かれる
窓に目を凝らした。
窓の向うにはベッドに横たわる
あの世からの死者の弱々しい影が見えた。
いきなり,狂気のひとりが手をのばし
「ママ!……
 ママ,こっちへきて,いっしよに遊んで,
 キスをして,話しをして!」と言う。
かわいそうな悪魔たち,ばかな奴ら,あわれ
な小さな姿
そのどれもがしっかりと包まれ――まるで過
去の日々の前にあるように――
それでもまだ凍えそう。
「ママ,ぼくを抱いて――ぼくは落葉なんだ
 ごらんよ,ぼくがどんなに身をすくめてい
 るか。
 ――とても寒いよ!」と
彼らが叫んだように。
それはまるで宿舎にひびきわたる
恐ろしい合唱のようだった。
そしてぼくも――彼らの旋風にまき込まれ――
うたうのだった。

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(※改行位置などは、同書籍のスタイルを極力再現しているつもり)


原文の英語訳?は↓の通り

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Thoughts


I stoud at the corner and looked int het window
To a place where heart is divided from heart
On the bed lay Had's limp shadows,
When a madman suddenly lifted his hand, crying:
"Mummy!…
Mummy, come here, let's play together
And kiss and talk to each other!"
Poor people, madmen, miserable figures,
Wrapped against the weather, they went
Shivering with cold, and wanting to shout
Before their days were done:

"Mummy, hold me, I'm leaf about to fall,
Look how I wither, I feel so cold!"
As the awful chorale echoed across the barracks,
I - swept up in it - sing along with them.

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http://home.wanadoo.nl/fourteen/page4.html


※0
英語表記だと"Hanus Hachenburg"であるらしい。ググル翻訳のカナ表記は「ヘイナス・ハーヘンブルク」となる。多分、本来は名前もテキストもチェコ語のはずだ。


※1
ハヌシュ(ヘイナス)少年について調べるために、この本を買いましたが何か?